少女漫画である必然性

佐々木淳子の『那由他』を読んだ。
ネタバレしちゃうけど、いいかな。
異星人と超能力者の戦い。
真相はかなり大がかりなSFだった。
地球が野蛮すぎるので一人前に育つまで太陽系は隔離されていた。
そうこうするうちに、宇宙が滅んでしまった!
太陽系は隔離されていたおかげで、その滅亡から免れている。
うっかり地球が幼年期の終わりを迎えたりすると、隔離から解かれ
太陽系も宇宙滅亡に巻き込まれてしまう。
太陽系を、地球を、人類を守るためには、超能力者たちによる人類
の覚醒などもってのほかなのだ。
さてさて、こんな過保護な親のような異星人の考えに対して、少女
は「外があるなら行ってみたい」という浅はかな思い付きだけで、
あっさりと隔離外に出て行ってしまう。
そうなのだ。
この物語は宇宙規模のSFの皮をかぶっているが、その実態は、親や
社会によってはめられた枠を乗り越えて外に出て行く少女の話だった
のだ。
外の世界は危ないから、と無理矢理箱入り娘にされてしまう少女が
「外の世界を見てみたい」と飛び出していく。
そして、意外と外界になじんでしまうのである。
今なら、外の世界にいやおうなく放り出される境遇にある少女が
「ひきこもり」を選択するようなストーリーが共感を呼ぶんじゃないか
と思った。