運命

将棋名人戦第3局の展開、感動した!
森内名人と羽生挑戦者との対戦は、実力が拮抗しているせいか、
とにかく先手側が勝利する、というのがジンクスになっていた。
先手が10連勝くらいしてたはず。
本局は森内名人が先手で、もうそれだけで森内名人が勝ったも
同然なくらいに、先手必勝のジンクスは、人間の力では抗えない
運命みたいな様相を呈していたのだ。
実際、中盤までは圧倒的に森内名人が勝勢で、羽生に勝ち目は全く
ないかと思われた。見ていてつらいくらいに。
あまりにも一方的な展開だったので、僕は最初関西将棋会館
大盤解説を聞きに行く予定にしていたのだが、そんな気も失せて
しまっていたのだ。勝負は既についている、と思ったのだ。
ところが!
圧倒的な勝勢で、しかも先手だという森内名人が、気がゆるんだのか、
ゆるい手を指した!
すかさず羽生がつけこんで、とうとう大逆転してしまったのだ。
人間が運命に勝った瞬間だった。
久々に将棋盤に駒を並べて棋譜を追ってみると、終盤は鳥肌が立ち、
涙すら出てきた。