兵士と女優

オン・ワタナベ(渡辺温)の『兵士と女優』を読んだ。
戦争に行ったけど敵の姿がない。
映画撮影のために戦争がでっちあげられた、という
真相だが、これは話の半分。
ブッシュの戦争を批判するような文言が連発する。
「何だって戦になんか行ったの?」の質問に、兵士は
隣の国の治安維持のために行ったと答える。
女優はひとこと。
「よけいなことじゃなくって?」
ブッシュに聞かせたい!
兵士がさらにパルチザン征伐の必要性を説くと、
「金満家が迷惑すれば、あんた方まで戦に行かなければ
ならないの?」
さらに、偏狭な愛国心についてもチクリとやる。
「あたい、『ビッグパレード』だの『ウィングス』で
随分教養のある青年達が、ただ兵士募集の触れ太鼓を
聞いただけで、理由もわからず暗雲に感動して出征する
のを見て、男って野蛮人だなあと思って呆れかえっちゃった」
「あたし、よく判らないけど、とにかく戦争だけを売り物
にする映画なんて、その根性が考えられないわ」
この作品、1928年に発表されている。
いやー、判ってらっしゃる!