運命の一手

hozan2007-05-02

録画しておいたNHK衛星の「運命の一手/渡辺明竜王VS人工知能ボナンザ」をやっと見た。
現在の将棋界のトップ棋士の1人、渡辺明竜王と、2006年世界コンピュータ選手権で優勝した人工知能ボナンザとの一騎討ち。
チェスでは世界最強のプレイヤーが、コンピュータ「ディープブルー」に敗北して10年がたつ。さて、将棋ではどうであったか。
番組を見ると、そういう興味以上に、「勝負」というものをいろいろ考えさえられた。
渡辺明竜王は22才の若き天才棋士だが、相手がコンピュータだということで、対策を練る。
渡辺竜王のブログに、こんなことが書いてある。

「一週間ほど前から、とにかくボナンザと指しまくりました。数百局は指しました」
「好きな手、嫌いな手、長所、短所、かなりの事が分かりました」
「作戦ですが、コンピューター将棋に詳しい勝又六段が『ボナンザは四間飛車穴熊が一番強い』と言っているのを何度か聞いたことあるので、おそらくそれがボナンザ側にも伝わり四間飛車穴熊で来るのではないかと思ってこれを中心に研究していました。この読みはズバリでした」
http://blog.goo.ne.jp/kishi-akira/e/148732e1b586255f0d0640074c86a54b

対局がはじまってからも、渡辺竜王のやることがめちゃくちゃ面白い。
わざと定跡にない手をさして、相手の実力をはかってみたり。
ボナンザの「駒損上等」の癖を利用して、対局を有利に運ぼうとしたり。
相手を研究しまくって、遊んでいるような感じ。
番組ではボナンザがかなり実力的に竜王に迫っているような扱いだった。
ボナンザの敗着となった「2四歩」と、渡辺竜王が「されると嫌」だった「2七香」との分かれ目が、NHK式では「運命の一手」であり、この一手の違いによって、勝ち負けが逆転していた、とされている。
でも、渡辺竜王の日記ではこう書いてある。
http://blog.goo.ne.jp/kishi-akira/e/44150b5b5d9e8d6d04a84292a13ce277
「この手順は『飛を渡して銀も歩で取られるけど馬を引き付けて相手が歩切れだから良し』というかなり高度な手順なので指せないとは思いました」
つまり、ボナンザにはこの手は指せまい、と見抜いているのだ。
ボナンザと竜王の実力が拮抗しているかのような印象がある番組だったが、竜王自身の感想は、次のとおり。
「まだまだ下と思っていましたがプロの足元まで来ているということを認めざるを得ません」
これって、チェスの名人がコンピュータに負けるというレベルから考えると、「まだまだ下」の部類に入るんじゃないか、と思う。
棋譜は下のURLで見れる。
http://yokosuka7.hp.infoseek.co.jp/syougi/bonanza/kaki_file/WATANABE-BONA.html
ところで、「ボナンザ」って、「ホザン」に似ていて、親近感わいた。

続けて、これも録画しておいた公文式小学生将棋名人戦を見た。
緊迫感のあるボナンザ戦とは違って、こちらはほのぼのムード。
キラリっ娘の井道千尋棋譜読み上げをしていた。
http://kics.jugem.jp/
棋譜の方も、高度な技が連発するボナンザ戦とは大違いで、小学生らしさが炸裂していた。
番組では準決勝からの対局を放送していて、極端な勝負はなかったが、予選での記録を見て駒を並べてみた印象では、角交換からはじまるような荒っぽい、わかりやすいのが多かったと思う。
とか言いながら、対局の順番決める13手の詰め将棋、小学生が平気で解いているのに、結局僕は答え合わせの時間までに解けなかった。
棋力は僕の方が「まだまだ下」なのだ。