今月のトピックス

4月末に配信された「ル・モンド・ディプロマティーク」の記事


1.ポーランドパラノイア
72年8月以前に生まれた高級官僚、大学教授、弁護士、学校長やジャーナリストの全員が、「あなたは旧共産政権の治安機関に密かに、かつ意図的に協力しましたか?」という問いに答えなければならない。
治安機関への協力が明らかになった場合、公共機関に所属するジャーナリストは無条件で解雇される。回答を拒んだり、虚偽の申告が明らかになった場合には、現在の職業に従事することが10年間にわたって禁じられる可能性がある。
こんなことやり出したのは、保守派のレフ・カチンスキ大統領と双子の兄ヤロスワフ・カチンスキ首相。
双子の悪役なんて、まるでスペクタクル。


2.ヨーロッパをむしばむ賃金格差
今日、パリ都市圏のホームレスの3人に1人は職に就いているという。
「対人サービス業」と呼ばれる個人向けサービス部門(高齢者・障害者介助、ベビーシッター等)の発達は、つまり、こういうことだ。
一部の人間が高収入の活動を独占し、他の人間に召使いの役割を強要するってこと!


3.国際司法か和平か、ウガンダ裁判の二者択一
ウガンダでは、神の抵抗軍(LRA)という反政府武装勢力と政府との間で、アフリカ大陸で最も長期にわたる紛争が続いてきた。
このLRAが同国北部で行った残虐行為について、国際刑事裁判所ICC)は戦争犯罪と人道に対する罪で5人の武装リーダーを訴追した。
 ウガンダ紛争の当事者双方は、噂と公式声明を操りながら、ICCを利用して自派に有利な流れを作り出そうとしている。政府の側は、和平交渉に先立って、ICCの政治的利用を始めている。
正義を実現するという任務の遂行に際し、外交的、政治的な問題に目をつぶるわけにもいかないというジレンマ。


4.バングラディシュ、明日の温暖化難民
深刻化する塩害、海面の上昇、水温・気温の上昇。
高木が消え、数多くの動植物が姿を消す。
多様な生態系が失われれば、南西部の人間の生存を支えていた微妙なバランスが崩れ、数十万の人間が移住を強いられる。
海面が45センチ上昇すると、平地国バングラデシュでは550万人が移住を余儀なくされ、国土の10.9%が失われるという。
アティク・ラーマン教授は言う。
「わが国の温暖化ガスの排出量は世界全体の0.3%か0.4%でしかありません。つまり、ニューヨークの町より少ないのです。わが国の排出量を削減することは、我々の道徳的な義務です。しかし同時に、世界の他の地域が何もしなければ、破局的な人道問題が起こるでしょう。そうなったら、誰が責任を取るのでしょうか」