内からの視点、外からの視点

ル・モンド・ディプロマティーク6月号の記事には色々考えさせられた。今も考えている。それぞれ、自分なりの意見はあるが、納得できる意見があれば、持論を変えてもかまわない。それだけ、難しい問題なのだ。
http://www.diplo.jp/
サルコジの狡知(2007年6月号)
フランス大統領、サルコジの策略とは。
「自国が衰退の途上にあり、道徳的に退廃しつつあると力説することで、自由主義的なショック療法たる「断絶」への心構えを国民に求める」
「少数派の利益を守ろうとする場合の賢明な方法にしたがって、(経済的な)利害問題に立ち入らずに済ますには、ひたすら価値観の問題を語り続けるべきである。秩序、敬意、能力、宗教といったことだ」
「保守派にとって、価値観を語ることは、庶民層の中に不和の種をまくという効果もある。庶民層は一般的に、賃金の高低よりも道徳や規律の問題に関して、意見が分かれているからだ。」
その他、本文中には多くの策略が書いてある。
「意外な思想家を引用するという戦略」なんてのは、応用できるかもしれない。
「普通に考えれば、財界の支持を受け、所得税の急激な引き下げや相続税の減免、法人税の引き下げを主張する候補者が、民衆の代弁者を名乗るのは難しいはずだ」なのに、その快挙をなしとげた策略とは、
「彼らの成功の大きな原因は、愛国的な国民意識に訴えかけ、「強大な収税吏」に対する「弱小な納税者」の恨みをかき立てたことにある。「伝統的な道徳価値」へのこだわりを示し、暴力と犯罪の最大の原因は司法の「甘さ」にあると断じることも忘れはしない」
このあたり、よその国のこととは思えない。

死刑をめぐる日本の現状(2007年6月号)
「 国際的な、また、近年では国内からの圧力にもかかわらず、日本政府は絞首刑による死刑の適用を続けている」
こんな文章からはじまる記事。死刑賛成派には腹立たしい出だしだろう。
問題はどこにあるかというと、
「日本の司法システムでは、証拠よりも自白を優越させる。自白した被告人は、一度認めてしまったことを法廷でくつがえすことができない。尋問は1日10時間以上にも及び、精神的にも身体的にも責め立てられる。取調官は、犯人だと書き立てる新聞記事などを見せ、被疑者の精神を動揺させる。推定無罪の原則は、マスコミではほとんど守られていないのだ。顔に傷や痣の残った者もいる。東京で会った2人のフリーのジャーナリスト、寺澤有三宅勝久によれば、「99%の被疑者が有罪になる」という。ジャパンタイムズ紙のイトウ・マサミ記者に取材した際も、同じことを言った」
「死刑執行に関する知識が一般市民に欠けているのは、それに関する情報をほとんど伝えない有力メディアの責任も大きい。多くの場合、有力メディアは記者クラブの会員資格を失うことを恐れ、報道を自粛する」
一般市民の無知ぶりは、こんなふう。
「1999年に政府が3600人を対象に行ない、ジャパンタイムズ紙が概要を掲載した調査によると回答者の8割が、死刑はあって当然だと肯定している。よその国では退潮にあることを知らず、中にはフランス人がいまもなおギロチンを使用していると思い込んでいる者もいた」
僕は、わりと単純な死刑反対論者だ。
殺しはよくない。それが国でも。ましてや、最近冤罪事件が次々と明るみに出ている。国は、殺したい奴を適当ないちゃもんつけていつでも殺すことができる。それはちょっとごめんこうむりたい。
愛する妻子を殺されて「無期懲役じゃだめだ、殺せ!」と冷静に人殺しを堂々と口にしてはばからない人までいる。おそろしいことだ。死刑でなきゃおさまらない、と明言して、それを実現させようと動く人と、殺人計画をたてる凶悪犯人と、どこがどう違うんだろう。

アグリ燃料にまつわる5つの幻想(2007年6月号)
農産物を使ったバイオ燃料について。
1、アグリ燃料はクリーンで環境保護につながる。
2、アグリ燃料は森林伐採を招くものではない。
3、アグリ燃料は農村の発展をもたらす。
4、アグリ燃料は飢餓問題を引き起こすものではない。
5、「第2世代」のアグリ燃料が実現間近である。
これは全部、嘘っぱちの幻想なのだという。
しめの言葉は、こう。
「熱帯の国々には太陽も、雨も、耕作可能地も自国より豊富にあるという理由だけで、北の国々が南の国々に、自分たちの過消費のツケを回すのは許されることではない」
そう言えば、綾小路きみまろが寄付した七福神の取扱いで富士河口湖町でゴタゴタしてる、とニュースで読んだ。政教分離にあてはまる、とか因縁つけているそうだが、この町は上九一色村を含んでおり、オウムのトラウマがまだ残っているんだろう。さもなければ、過剰反応としか思えない。
この富士河口湖町の議会のメンバ−見たら、そういう土地柄なのか、親族なのか、やたら渡辺という苗字の人が多い。
今回の七福神問題で「反対」だけ告げて、退席しちゃったのも、その渡辺議員。邪宗大嫌い、オウム憎しの気持が凝り固まっているのか。でも、その結果が、ニュースのタイトル「七福神、宙に浮く」ときわめてオウムっぽくなったのは皮肉か。
そうそう。話もどって。この富士河口湖町議会の記録とか読んでると、飼料として買っていたトウモロコシが高騰しているらしいのだ。バイオ燃料に利用されるために値上がりしたのだ。国内でもバイオ燃料地方財政を圧迫してるのだ。